私は今、日本のコロナ状況に大きな懸念を抱いています。それは感染者の数ではなく(日本は他の国に比べて数は少ないですが)、社会が通常の生活に戻ることを受け入れるのに時間がかかるのではないかということです。日本からのニュースを読んでいると、人々が孤立していること、特に孤立が老人たちに引き起こしたに違いない損害を特に懸念しています。 孤立による被害は、コロナより深刻な場合もあるのです。
ビジネス、留学生、そして最終的に観光客への門を開くなど、コロナ前の日本に徐々に戻っていくことを、私は切に願っています。普通の生活に戻るということは、ただ「状況が良くなるのを待つ」だけではなく、意識的な決断を、積極的に行うことであるということを、コロナが私たちに教えてくれたと思います。
〇Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年エルサレム・ヘブライ大にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に送られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。12年エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。