NFLでも身体能力の高さが際立つカーディナルスのJ.J.ワット(写真/gettyimages)
NFLでも身体能力の高さが際立つカーディナルスのJ.J.ワット(写真/gettyimages)

 二刀流で全米を沸かせた大谷翔平を持ち出すまでもなく、MLBではこれまで多くの日本人選手が活躍してきた。そしてNBAでは現在、八村塁と渡辺雄太がプレーしている。NHLにはかつて福藤豊が在籍し、今年のドラフトでは安藤優作が指名候補に挙がっていた。だが北米四大スポーツの残るひとつ、NFLだけはいまだに日本人にとって前人未到の領域のままとなっている。

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 その背景には日本におけるアメリカンフットボールの普及率の低さももちろんあるが、なによりもNFLが圧倒的な身体能力を誇るフィジカルモンスターばかりなのが、やはり日本人にとって大きな壁となっているのは否めないだろう。

 NFLはポジションによって求められるフィジカルが大きく異なるのが特徴だが、怪物ぶりが分かりやすいのは持続的なスピードとジャンプ力でパスキャッチを争うワイドレシーバー(WR)とコーナーバック(CB)、あるいは爆発的な瞬発力が問われるランニングバック(RB)だろうか。

 NFLでもスピードスターとして知られるWRタイリーク・ヒル(チーフス)は、プロ入り前の40ヤード(約36.6メートル)走で4秒29をマークしたが、実は彼は大学まで陸上とアメフトを掛け持ちしていた。2012年の世界ジュニア陸上では200メートルで銅メダル、4×100メートルリレーでは金メダルを獲得した実績を持つ。なお同大会ではのちに日本屈指のスプリンターとなって五輪にも出場したケンブリッジ飛鳥も200メートルに出ていたが、彼は準決勝敗退だった。

 現役屈指のCBであるバイロン・ジョーンズ(ドルフィンズ)は、ドラフト前のスカウティング・コンバイン(運動テストなど)で立ち幅跳びで世界最高記録の147インチ(約3.73メートル)、垂直跳びでも44.5インチ(約1.13メートル)の記録を残している。

 ちなみに上記2人はともに身長180センチ前後、体重もヒルが84キロ、ジョーンズが90キロとNFL選手としては大柄な方ではない(ケンブリッジ飛鳥よりひと回り大きい程度)。サイズとスピードの融合という意味では、近年では大型化が進んでいるタイトエンド(TE)の方が花形かもしれない。

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ヘビー級の体格で驚くべきスピード