三原綱木さん
三原綱木さん

◆GSなければ スターはいない

 出身者の早世が相次ぎ、急速にその記憶が失われつつあるグループサウンズ。しかしGSは単なる当時の若者文化というだけでなく、日本の音楽史上できわめて重要な意味を持つ。ザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズの音楽と自由な生き方に憧れたロック少年たちが既存の歌謡界の価値観にあらがい、70年代以降の多彩な音楽文化の礎を築いたターニングポイントだ。

 GSブームがなければ沢田研二や萩原健一、堺正章らも世に出ることはなかった。日本の音楽界、芸能界はずいぶんと寂しいものになっていただろう。

「GSブームはたったの2、3年。短かったけれど強烈なインパクトを残したムーブメントだったと思います。今振り返れば60年代ってすごい時代ですよ。政治、経済、文化、思想、あらゆるものが今とは比較にならないスピードで変化していました。そんな中で僕たちが大人たちのひんしゅくを買いながらもがむしゃらに突っ走って、日本の音楽シーンを変えていった。ブームが終わった後は複雑な感情もあったけど、今では自分がグループサウンズ出身であることを誇りに思っています」(森本さん)

 一時代を築いたスターたちのあふれる情熱と興奮が詰まった「懐かしきラブソング」。コロナ禍や社会不安で閉塞した今だからこそ、このDVDが多くの人の心に熱い火をともしてくれるよう願いたい。(中将タカノリ)

発売されたDVD「懐かしきラブソング」
発売されたDVD「懐かしきラブソング」

※DVD「懐かしきラブソング」の詳細情報は森本太郎さんの公式サイトhttps://www.morimototaro.com/をご覧ください

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森本タロー(もりもと・たろう)
1967年、ザ・タイガースのギタリストとしてデビュー。「君だけに愛を」「花の首飾り」「青い鳥」等が大ヒットを記録し、グループサウンズブームを代表する人気を誇った。解散後は森本タローとスーパースターを経て芸映に入社。プロデューサーとして西城秀樹、岩崎宏美などを手がけた。「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」などの作曲者としても知られる。近年は再結成した森本タローとスーパースターでライブ活動を続け、2019年には再結成20周年記念シングル「A Lot of Good Friends」を発売。
森本タロー公式サイト https://www.morimototaro.com/

三原綱木(みはら・つなき)
ファイヤーボールを経て1964年にジャッキー吉川とブルー・コメッツに加入。「青い瞳」「ブルー・シャトウ 」等が大ヒットを記録し、グループサウンズブームの先駆けとなる。ブルー・コメッツ解散後、1976年から8年間、郷ひろみバンドのリーダーを務め、1985年からはフジテレビ「夜のヒットスタジオ」のオーケストラ指揮を担当。1986年から「三原綱木とザ・ニューブリード」を率いて現在に至る。NHK「歌謡コンサート」、NHKBSラジオ「きらめき歌謡ライブ」、「紅白歌合戦」をはじめ、数々のステージで指揮、アレンジを担当。

真木ひでと(まき・ひでと)
漫画トリオとバックボーンを経て1968年、オックスのリードヴォーカル「野口ヒデト」としてデビュー。「ガール・フレンド」「スワンの涙」等が大ヒットを記録し、過激なステージパフォーマンスで「失神ブーム」を巻き起こした。オックス解散後、1975年に「真木ひでと」に改名し「夢よもういちど」で再デビュー。以後「雨の東京」「元気の星」などがヒット。2020年、真木ひでとに改名してから45年目を迎え、古希記念として111曲入りの「陶酔・心酔・ひでと節」をソニーから発売。

週刊朝日  2021年11月19日号

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