左からザ・タイガースの岸部シローさん、加橋かつみさん、森本さん
左からザ・タイガースの岸部シローさん、加橋かつみさん、森本さん

 今でこそ「同窓会コンサート」は珍しくないが、当時としては画期的で先駆者的存在だった。企画は大反響を呼び、全国の“元GS少女”たちの喝采を浴びることになる。

 それぞれがライバル同士で多忙だったGSブーム当時とは違い、ユニットでの活動は朗らかで和気あいあいとしたものだったそうだ。「当時のことは楽しい思い出ばかりですね。ユニット名を聞かされた時に『なんで“タイガース”なんだよ』とは思いましたけど(笑)。それはともかく、みんな仲良くて楽屋でもいろいろしゃべったし、お酒もよく飲みに行った。特に岡本信は僕を“オヤジ”って呼んで慕ってくれてね。同じ沿線に住んでたから週に一度は会って飲んでました」(三原さん)

「コンサートが終わった後はしょっちゅうお酒を飲みに行きましたね。ゴルフコンペも定期的にやってました。GSブームの頃は忙しすぎて遊べる時間が少なかったから、このグループを通して親交が深まった人は多かったです。たまにケンカすることもあったけど、それも含めて全部いい思い出ですね」(森本さん)

 ユニットを企画した当人だけにデジタル映像化にかける森本さんの思いは深いものがあった。

真木ひでとさん
真木ひでとさん

「久しぶりに映像を見ると、みんな40代で若いし元気がみなぎってますよね。それぞれの個性が発揮されていて、本当にいいコンサートだったと思います。たまに客席のお客さんも映るけど、みんな楽しそうにしてくれてるでしょう? もう半分以上の出演者が亡くなってしまっているというのが残念だけど、だからこそ今のうちにDVDにして後世に残るようにしておきたかった。おそらくこれだけのメンバーがそろった映像は今後もう出ないでしょう」(森本さん)

 昨年亡くなった岸部さんをはじめ、GSの出身者たちには若くして亡くなった人が多い。本作の出演者にしても12人のうち、すでに7人が亡くなっているのだ。

 真木さんは「たくさんの人にDVDを見てほしいけど、僕自身は当分見られないと思います。僕はあのユニットのおかげでもっちん(アイ高野)と大親友になったんですよ。『同じ“アイ”で赤松愛(オックス)と間違われるから、オックスのことは大嫌いだったんだよ』なんて憎まれ口を言っていましたが、しょっちゅう家に遊びに来てね。うちの奥さんが作る冷やし中華が大好きで、体調を崩して亡くなる間際まで『あの冷やし中華が食べたい』って言ってたのを思い出します。当時の思い出があまりに色濃く残りすぎているんです」と複雑な胸中を明かす。

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