「寂庵」での対談は、度々にぎやかな笑いに包まれた(撮影・楠本
「寂庵」での対談は、度々にぎやかな笑いに包まれた(撮影・楠本 涼)

ま:先生がおしゃべりだから私、言わなかったんです。「しゃべらないでください」とお願いすると、「言われたくなかったら寂庵辞めろ」とか言うんですよ!

寂:だって、私がおしゃべりってことは、天下みんな知ってるから。ここでしゃべったことは、明日にはもう全国に広まるね。

ま:彼のことはちゃんと大切にずっと持っていて、いざ、というときに言いました。それでも私は「言わないでね。言ったらだめ」って言ったのに、先生は言いまくってましたけどね(笑)。

寂:「これを言っちゃあね、まなほが怒るからね、内緒よ」って言うの。お相手はハンサムですよ。ああ、ハンサムだからこの人「うん」って言ったんだな、って思った。だけどね、外から見ただけでは中身はわからないっていじわる言ってやる。

ま:そう、それで「顔がいいから、たぶんすぐ女ができるよ」って……そんなことばっかり言われてます。でも、ブサイクだったら陰でボロクソ言ってると思う。イケメンお好きですもんね。

寂:だって見るだけでもいいじゃない? ご飯がおいしいよ。お相手はまなほのおかしいところを理解してるみたいなの。私がまなほといて笑うでしょ。その人も、まなほのおかしいところを笑うんだって。それなら大丈夫、と思って。

ま:あらためて彼が寂庵に挨拶に来たときに、「あ、あなただったの、よかった!」って言ってくれたんです。

寂:それはご挨拶で。あっはっは(笑)。

ま:こういうふうに、私にいじわる言うのが大好きなんですよ! 見てください、このうれしそうな顔。寂しいとか思わないんでしょう。

寂:ちっとも。二人で来たら、かえって今度はにぎやかになるんじゃないですか。

ま:結婚後も働かせてもらいます。今は京都で二人で暮らしてます。

寂:生きてる間に結婚式出られてよかったな、と思います。だって私はもう97歳よ。いつ死んでもおかしくない。

ま:週刊朝日と同じ年なんですって!

寂:いいねぇ、週刊朝日。このごろちょっと暇だとベッドで寝たいの。横になって読むには、重い本は読めない。だから週刊誌にとても詳しいんだよ、私! 端から端まで全部読むの。

ま:朝起きたらベッドから雑誌が落ちてますよね。読んでる途中に落ちたのかな。時々、表紙の俳優さんやジャニーズでも、先生が「あ、この子かわいいね」と思う人いますよね。

 この本には、先生からもらった手紙の返事も載せました。これまで何度も先生に手紙を書いてきたけど、ずっと返事はもらってなかった。それを、当時連載していた文芸誌「群像」の小説『死に支度』を通じてもらったんです。小説に登場するモナ(私)宛てで。

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