感染研が国内で懸念される変異株に挙げているのは、第5波を起こしたデルタ株に加え、2020年5月に南アフリカで見つかったベータ株と、同年11月にブラジルで見つかったガンマ株の3種類だ。どちらも伝播性が高まっているとされる。
ベータ株が国内で最後に検出されたのは今年7月27日、ガンマ株は8月31日で、世界的にも検出件数は減ってきている。ただし感染研は、ワクチンや中和抗体の効果を低める可能性があるため、引き続き懸念される変異株に分類する、とする。
注目すべき変異株への分類は10月28日現在、ない。
一方、新たにできた監視下の変異株の分類には、アルファ株、旧カッパ株、ラムダ株、ミュー株、AY.4.2が指定された。
アルファ株はデルタ株の前に流行していた、英国で最初に見つかった変異株だ。国内ではほぼデルタ株に置き換わって検出されなくなったことなどから警戒度が下げられた。
旧カッパ株は、20年10月にインドで見つかった。WHOは21年4月、デルタ株と同時に注目すべき変異株に分類したが、その後感染は広がらず、インド国内でもほぼ終息している。
■デルタ株派生の亜型
WHOは、懸念される変異株と注目すべき変異株にはギリシャ文字のアルファベットで名前を付けている。今回、この変異株は警戒度が下げられたため、「カッパ」という名称も取り下げられた。このため感染研では旧カッパ株と呼んでいる。
ラムダ株は20年12月にペルーで、ミュー株は21年1月にコロンビアで見つかった。どちらも従来株より伝播性が高くなっている可能性があり、WHOが注目すべき変異株に分類しているが、南米でも減少傾向にあり、国内では検疫も含めてほとんど検出されていないことから、より警戒度の低い分類となった。
AY.4.2は、デルタ株の仲間だ。新型コロナウイルスの変異株には、WHOの命名のほか、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析に基づく国際的な系統分類名が複数種類ある。より細かく分類しているのが「PANGO」で、「AY」と付くのはすべてこの分類による、デルタ株から派生した亜型だ。