近年、全国の大学で「データサイエンス」を学べる学部や学科が相次いで設立されている。今年5月には、社会科学系の一橋大が「ソーシャル・データサイエンス学部・研究科(仮称)」を2023年に新設する計画を発表し、話題を呼んだ。「日本にはデータサイエンス人材が圧倒的に足りない」と言われるが、データサイエンスとは何なのか。また、実際に学んだ学生たちの就職状況はどうなのか。大学関係者に取材した。
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日本で初めて滋賀大に「データサイエンス学部」が誕生したのは2017年。以降、横浜市立大、武蔵野大、南山大など、全国で学部や学科の設置が相次いでいる。大学通信によると、「データ」もしくは「データサイエンス」と名のつく主な学部・学科などのある大学は表の通り。このほかにも、2年次、3年次など進級時に選択できるコースを用意している大学もあるという。
■日本は世界のなかで後れをとっている
そもそもデータサイエンスとは何か。滋賀大データサイエンス学部長の竹村彰通教授はこう語る。
「簡単にいうと、スマホなど情報通信機器の発展に伴って取得できるようになったビッグデータを分析し、人間の思考や行動に結び付けて、マーケティングやサービスに生かしていくというものです。アメリカでは年間5千人ほどの修士が誕生し、社会で活躍しています」
大学でデータサイエンスを学べる環境が急速に広がっているのは、社会からの要請だ。「多くの企業がデータサイエンティストを求めている」(竹村教授)というが、そこには世界と比較して日本がこの分野で後れを取っていることが背景にあるという。
「日本はものづくりには強いのですが、AmazonやAppleのように世界中にサービスを展開するというのは弱い。それは、日本がデータを生かしたマーケティングよりもアナログの文化や人間関係を重視し、『良いものを作れば売れるんだ』というマインドがあったことが影響しています。しかし海外の企業には負けてしまっているため、データを生かしたサービスを頑張っていこうとなっているのです。しかし、人材の面でもアメリカとの差は圧倒的。国内ではこれまでデータサイエンス人材を十分育てられていませんでした」