
──先送りですね。原さんはこの映画について「自分は中継ぎ投手」と語られています。水俣をテーマに記録映画を撮り続けた土本典昭監督が「先発」で、その後を描いたものだと。問題が残る水俣病、6時間の映画で「中継ぎ」の役目は果たせましたか?
「魅力的なひと、一人ひとりにカメラを向けてシーンをつくって一本の映画にしようとしてきました。6時間もの映画だから描き切ったでしょうと言われると、いやいや、とんでもない。描き切れない悔しさが大きい。それは実感なんですよね」
(取材・構成/朝山実)
水俣病……熊本県のチッソ水俣工場の排水による公害病。1956年に公式確認されるまで「奇病」とされた。排水に含まれるメチル水銀が病因と明らかになった後も、行政との間で「患者認定」と被害者補償を求める裁判闘争が続いている。
※週刊朝日 2021年11月26日号