越谷レイクタウン
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 部屋数の多い空き家は、一般の賃貸には向かない。だが、シェアハウスとして活用する方法がある。地域住民との交流の場になるなど、増え続ける空き家の問題を解決する一つとして注目できそうだ。

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「関西は初めてで、コミュニティーづくりや交流をしたかった。立地や楽しそうな雰囲気も決め手でした。家に帰って嫌なことを打ち明ける人がいることで、安心感が増えました」(20代男性)

「知人がシェアハウスに住んでいたので関心があり、探していました。部屋の内装がきれいで、窓も大きく明るい部屋だったのが気に入りました。幅広い年代や国の人が住んでいて、生き方や価値観で学びがあり、職場と自宅の往復だけでは得られないものだと思います」(20代女性)

 入居者たちがこう話すのは兵庫県西宮市のダイバーシティ甲陽園。このシェアハウスを運営するウィル(宝塚市)の広報担当の岡田洋子さんによると、廃業した老舗旅館を有効活用したという。

「著名人も来て、地域で有名な旅館で、人が集まり愛されていました。通常は壊して更地にし、戸建てを建てますが、弊社の創業者がシェアハウスにしたらどうかと考えたのです」(岡田さん)

 学生を対象にコンペをし、関西大学大学院で建築を学ぶ学生のプランを採用。2016年に運営を始めた。当初はスタッフが住み込み、入居者と一緒にルールをつくった。

 地上3階、地下1階で25部屋あり、地下には防音室3部屋と、ダンスやヨガ教室もできる広いフリールームも。物件を担当する同社の木村雄亮さんによると、入居者は男女ほぼ半々、20代が約6割と多いが、40、50代も3割いる。留学生など外国人も多いという。

 1階の広めのキッチンなどでは、春は花見、夏は流しそうめん、秋はハロウィーンの飾りつけ、冬はクリスマスパーティーなどのイベントを開催。費用はウィルが負担し、参加料は無料だ。地域住民も参加できるフリーマーケットやジャズライブなども行っている。

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