同社の開業は2015年。ディー・フリーは発売以来、改良を重ね、最新版は4代目にあたる。これまで排せつの介助や自立支援に取り組む介護施設や、頻尿や尿漏れなどに悩む高齢者向けに5千台を出荷した。
価格は、法人向けが管理システムの構築などを含めた「スタンダードプラン」(3年契約)で、1台あたり税込み33万円。個人向けは、買い取りで同4万9500円(装着用シート5枚や超音波用ジェルなどを含む)。
中西さんは言う。
「介護施設で導入事例を調べると、入居者がトイレで排尿する割合は上がり、失禁の頻度も減りました。おむつの消費量やスタッフの負担が減るだけでなく、入居者本人の自信や尊厳を高めることにつながります。個人の利用者もトイレへの不安が減れば、外出を敬遠するケースを少なくできる」
今後はセンサーの性能をより高め、排便タイミングを知らせる装置や、心臓など、ほかの臓器の健康状態をモニタリングする装置の開発にも取り組んでいきたいという。
そもそもセンサーとは、音や光、温度といった物理的な現象や、モノの化学的な性質や変化を検知する装置を指す。検知した情報を電気信号などに変え、ほかの機械や装置に伝えたりする役目もある。調べる対象や用途、仕組みによってタイプはさまざまで、幅広い分野で使われている。
介護分野では、寝ている人の状態を調べられるセンサーもある。医療・介護用ベッド大手パラマウントベッドの「眠りSCAN(スキャン)」だ。マットレスの下に置いたセンサーが体動を感知し、眠っているのか起き上がっているのか、といった状況のほか、心拍数や呼吸数までわかる。デジタル事業開発部部長の伊藤秀明さんは言う。
「伝わる振動の強さやリズムで、心拍によるものか呼吸なのか、体の動きなのかを判別します。ベッドに向かって、うちわや手であおいだ風さえ感知できるほど敏感です」
検出データは携帯端末やパソコンのモニターで表示し、離れていてもリアルタイムで状態を把握できる。呼吸や心拍数のデータを「睡眠日誌」として見ることができ、睡眠状況や生活習慣、体調の変化を長期的に把握できる。呼吸や心拍の異常があれば通知やアラートを送り、カメラと連動させて室内を映したり、ワイヤレスインカムを通じて音声で伝えたりする機能を加えることもできる。