現役時代の中日・中村紀洋打撃コーチ
現役時代の中日・中村紀洋打撃コーチ
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 中日の新たな打撃コーチに就任した中村紀洋氏。現役時代の実績は抜群である一方、周囲の人間と衝突する“トラブルメーカー”の印象もあり、心配の声も聞こえた。だが、秋季キャンプ初日から積極的な指導を行い、選手たちからは「わかりやすい」と好評を得ている。

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 中村コーチは14年オフにDeNAを自由契約となった際「生涯現役」を貫くことをSNSで発表したが実質的には現役引退となった。その間、静岡・浜松開誠館高で非常勤コーチを務めるなどアマチュア球界で指導者として活動。中学硬式野球大会「中村紀洋杯」を開催するなどしていたが、プロ球界での現場復帰の話は聞こえてこなかった。

「浜松開誠館高での指導力は高く評価されていた。自身の冠大会でも積極的に指導していた。アマチュア関係者にも信頼されており将来は高校野球の監督を目指すものと思われていた。NPB時代の契約時などで揉めたイメージもついており、各球団とも二の足を踏んでいた部分があったのかもしれない。中日は大きく変わるため中村打撃コーチを招聘したと思われます」(近鉄時代から知るスポーツライター)

 現役時代、打撃技術の高さは多くの名打者が絶賛するほどだった。またハンドリングの良い内野守備も球界随一と言われていた。実質的な引退後は確固たる野球理論を持ち、指導にも一貫性があると好評だった。その一方で頑固一徹なスタイルに眉をひそめる球界関係者が少なくなかったのも事実だったようだ。だが、中村コーチが07年から2年間プレーした古巣・中日の新指揮官となった立浪和義氏から声がかかった。

「立浪新監督もグラウンド外の問題が原因で監督就任が長年見送られていたということ。中村コーチもチームに不協和音を及ぼすのではと思われていたのは確かです。今回の人事を見ると中日球団が将来のために大きく舵取りをしたように感じる。昨年はAクラス入りしたが今年は下位(5位)に逆戻りした。中長期スパンで球団の改革を断行するということです」(中日担当記者)

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現役時代から際立っていた“野球理論”