男性の性的能力の減退は男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量の減少によります。このテストステロンは精巣で作られ加齢により生産量が減ります。

 ところが、脳の下垂体で作られるゴナドトロピンという性腺刺激ホルモンもあります。こちらは性行動の司令塔ともいえる存在で、性衝動や異性への関心を司っています。こちらは加齢しても大丈夫なのです。そこで、歳をとって性欲は減退しても、異性に対する関心が薄れないのです。

 これはとても大事なことです。生命を躍動させる「心のときめき」をもたらすのは、なにより「食」と「性」なのです。その「性」を大事にする性養生がナイス・エイジングには必要です。

 現在の私にとって、性養生の一番の方法は女性とのハグです。ハグによって生命のエネルギーが高まるといつも語っているので、講演が終わると、私とのハグを求める女性の列が生まれます。ありがたいことです。でも、ハグするときは自分からではなく、相手が動いてからです。自分からだとセクハラになってしまいますから(笑)。

 みなさんも「性」を大事にする方法を是非、見つけてください。そして、いつまでも異性への関心を持ち続けましょう。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2021年12月3日号

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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