しかし、1990年代半ばから徐々に治安は改善し、今では同地区を歩いていても身の危険を感じることはほとんどない。だが、コロナ禍でNY市全体において犯罪率が再び増加し、最近ヘルズ・キッチンでもアジア系の女性が暴行を受けるなど、NYで暮らす限り常に安全に注意を払いながら、生活しなければならないのが現状である。
小室圭さんは5月にフォーダム大学のロースクールを卒業したが、そのキャンパスはすぐ隣の地区にあり、卒業後パラリーガル(法律事務員)として勤める法律事務所までは、自宅から徒歩20分程度。
その途中には劇場街で有名なブロードウェイもあり、仕事面でもプライベート面でも、非常に便利な場所に位置しているという。
一方、眞子さんの現地就職先候補と言われているメトロポリタン美術館は、地下鉄やバスなどの公共交通機関を使えば30分ほど。著者はヘルズ・キッチン地区から美術館までためしに歩いてみたが、多くの映画やテレビ番組などのロケ地としても有名なセントラル・パークを横切って行けば、1時間もかからなかった。
摂氏マイナス10度以下になることもあるNYの冬にはお勧めしないが、気温の温かい春や夏には、徒歩での通勤もいい気晴らしになるかも知れない(もちろん、日が暮れての徒歩や人気のない場所は絶対に避けるべきだが)。
来年には、小室圭さんは2度目となるNY州の司法試験を控えており、眞子さんはアメリカで就職するためには、ビザ切り替えの手続きを行わなければならない。2人とも今後もさまざまなハードルを抱えているが、「自由な街」ニューヨークでの生活を満喫しつつ、これからは同じニューヨーカーとして一緒に頑張っていければと願う。
(新垣謙太郎)
◆あらがき・けんたろう ニューヨーク在住ジャーナリスト。首都ワシントンの大学を卒業後、現地NGOジャーナリスト国際センターに勤務。その後テレビ局での経験を経て現在フリージャーナリストとして活動中