交通渋滞の次は、交通事故の話である。

 95年、ヤクルトからロッテに移籍した内藤尚行は、5月2日の日本ハム戦で598日ぶりの勝利を挙げるなど、3勝1敗と復調。12月15日に行われる契約更改では、3700万円から現状維持前後が予想されていた。

 翌16日からチームメイトの黒木知宏の結婚式に出席がてら、自主トレも兼ねて九州旅行に出発するとあって、心はウキウキだった。

 だが、好事魔多し。車で球団事務所に向かった内藤は、浦安市内の交差点で信号待ちをしているときに、なんと、トラックに追突されてしまう。

 トラックが徐行していたため、大事に至らなかったのが不幸中の幸いだったが、「その瞬間、車内で飛んだ。“大地震かよ”と思った」という内藤は、連絡を受けて現場に駆けつけた球団関係者とともに、習志野市内の病院へ急行。「外傷性頸部傷害」で全治10日間と診断された。

 首の痛みは軽度で、入院こそ免れたものの、自宅で静養することになり、この日の契約更改も当然延期された。

 ふだんは明るいキャラの“ギャオス”も「ツイてない。今日契約を済ませて、明日から九州に行こうと思っていたのに……」と落ち込んでいた。

 選手が交渉の時間に遅刻したり、近鉄時代の前川克彦のように「今日は“11月31日”だと思ってました」と日にちを勘違いして交渉をすっぽかす珍事も時々起きるが、よりによって、球団側に交渉をすっぽかされてしまったのが、ロッテ・福浦和也だ。

 98年、129試合に出場し、打率.284、3本塁打、57打点とまずまずの成績を残したプロ5年目の福浦は12月8日、1月に入籍した夫人とハワイで挙式。ハネムーンやゴルフコンペなどでリフレッシュしたあと、帰国後の同20日、契約更改交渉のため、千葉マリンスタジアムの球団事務所を訪れた。

 だが、約束の時間にもかかわらず、事務所に人影はなく、とんだ待ちぼうけ。仕方なく電話で担当者に問い合わせると、24日に延期されたにもかかわらず、連絡ミスで福浦に伝わっていなかったことが判明した。年末の何かと忙しい時期に無駄足を踏まされるほうは、災難としか言いようがない。

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