アメリカと日本、どちらが子育てしやすい?とよく聞かれます。アメリカで約5年過ごした後、日本に本帰国して1年半。どちらの国にも良し悪しがありますが、ひとつだけアメリカのほうが断然いい!と言い切れる点があります。それは、子連れで通えるスポーツジムです。
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アメリカのスポーツジムには、たいてい託児所(チャイルドケア)スペースが併設されています。場所によって利用条件はさまざまですが、たとえば私の通っていたアラバマ州のジムでは生後2カ月から受け入れ可能。1歳未満の乳児(baby)、1歳から5歳未満の幼児(toddler)、5歳から12歳の小児(kid)と、年齢によってスペースが分かれており、乳児はスイングやバウンサーの上でゆらゆらと、幼児はクレヨンや積み木を手にわちゃわちゃと、小児はボールやアスレチックに興じてワイワイと、皆思い思いに過ごしていました。低年齢の子に危険が及ぶこともなく、年の近い友だちと触れ合ういい場になっていました。
週に2~3回は通うので、託児所のスタッフとも顔なじみになります。家族以外の誰かが定期的に子どもの世話をしてくれるのは、「〇〇くん歩くのが上手になったのね!」と子どもの成長を喜んでくれる人が増えることでもあります。また、子どもの社会性を高める気もします。わがやの3人きょうだいのうち真ん中の子は生後2カ月からジムでお世話になっていたせいか、きょうだいの中でも全然人見知りをせず、知らない場所でも物怖じしません。
子どもにとってだけでなく、親にもいい効果がありました。体が鍛えられるのはもちろんのこと、子どもと離れることで精神的な余裕が生まれたのです。私が通っていたジムの利用時間は1日2時間まででしたが、2時間以内の別離でも子どもをより愛おしく感じるには十分でした。託児スペースに迎えに行った際に子どもがぎゃんぎゃん泣いていても、げんなりするどころかやる気が湧いてくる。さあて、どう泣き止ませますか、授乳する? 歌うたう? それともヘン顔がお好み? と、時にはユーモアをもって子どもに向き合えるようになったのです。
それは、2時間離れている間にジムで体を動かしていたことが大きく関係しているように思います。カフェで本を読むでもなく、映画を見に行くでもなく、運動したからこその余裕。ウォーキングなどの有酸素運動がうつ病になるリスクを下げるといった調査結果もたくさん出ていますが、体を動かすことで気持ちが上向きになるのは多くの人が認めるところでしょう。小さい子どもと24時間共に過ごしていると心にどろどろと嫌な澱が溜まっていきますが、運動がそれを浄化してくれます。