新型コロナウイルスの変異株オミクロンの亜系統が続出している。海外では感染が増加する一因にもなっている。AERA 2022年11月14日号から。
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国内の新型コロナウイルスの感染が再び増えつつある。水際対策の緩和を受け、さらなる増加要因となるかもしれないのが、海外で次々と生じているオミクロン株の亜系統だ。とくに今後、国内での動向に注意が必要な亜系統はXBBとBQ.1だ。
多くの国がもはや感染者の全数調査をしていないため、正確な感染者数の把握は難しいが、英国のOur World in Dataによると、11月1日現在、人口100万人あたりの感染者数がもっとも多い国はシンガポールだ。
■ハイブリッド「XBB」
シンガポールでは日本よりも一足先に夏の流行が収まった後、9月下旬から再び感染者が増え始めた。10月中旬のピーク時には100万人あたり1500人を超えた。ただしその後は減少傾向に転じ、11月1日現在、千人を切っている。
シンガポール保健省によると、増加の一因は亜系統XBBとBA.2.75だった。日本で新型コロナウイルスの大半を占めるオミクロン株BA.5系統は少数派になり、代わりにこの2種類、とくにXBBが主流になった。
10月3~9日の週に報告された感染者のうち54%がXBB、24%がBA.2.75に感染していた。XBBの比率は、前週の22%から大きく増えた。
XBBは、オミクロン株の亜系統BA.2とBA.2.75のさらなる亜系統BJ.1とBM.1.1.1のハイブリッドで、「組み換え体」と呼ばれる。
シンガポール保健省によると、XBBは8月にインドから最初に報告された。世界保健機関(WHO)によると10月9日現在、日本を含めた35カ国で見つかっている。都内で見つかったXBBは11月4日現在、前週から11件増えて17件だ。
シンガポール国内での動向から、XBBはBA.5よりも感染が広がりやすいと推測できる。加えて、再感染を起こしやすい可能性もある。9月中旬まで、感染者に占める再感染の比率は5%前後だったが、XBBの増加に伴って増え、10月14日時点で感染者の17.5%が再感染だった。ただし、再感染者の多くが最初に感染したのは、オミクロン株以外だった。