教団が重視しているはずの家庭をも時に壊すことになる過度な献金には、教団内部でも疑問を感じる人々はいたという。
「私が戻った98年ごろが最悪な状況だったと言われていて、『家財を売ってでも献金しろ』という話まで飛び交い、これでも教会なのかと。01年にそうした横暴な幹部陣が一掃される人事があるのですが、献金ノルマなどの構造自体は残り、献金を求める側の教会長のメンタルが壊れるケースも見られました」
メディア対応の前面に立っている勅使河原氏らについては、報道されているイメージとは違った面もあると証言する。
「勅使河原さんとは同じ本部職員として親しく交流がありました。もともと、献金の実績をベースとした教会の人事評価制度に大きな問題を感じて、改革に取り組んだ方。献金を重視する韓国本部のあり方も快く思っていなかった立場ですから、本気で改革したい思いはあると思います。ただ、現在の対応を見ると、教団内の問題に蓋をしたまま、被害者に寄り添うこと以上に組織防衛を優先させてしまっているため、会見での発表がすべて裏目に出てしまっているのだと思います」
「田中富広会長や梶栗正義さん(国際勝共連合会長)もこの献金体制を推し進めた側と思われがちですが、それは逆なんです。皮肉にも本当に献金体制を進めた人は見えなくなっていて、それを何とかしようとしてきた人たちが矢面に立っている。00年代に大きな改革運動があったとき、田中さんや梶栗さんもその中にいたのです。しかし改革は途中で挫折。その後、日本国内での改革の努力は続きましたが、献金体制は日本教会を超えた部分で、韓国の本部が決める『聖域』。この体制に異議を唱えるのは、信仰に反することと同じとされてしまうので、結局、韓国指導部に追従する状況が続きました」
もちろん、仮にそうした事情があったとしても、さまざまな問題についての責任を免れられるものではないだろう。現に、問題を放置し続けた結果、教団には宗教法人法に基づく「質問権」による調査が迫り、解散命令という事態も現実味を帯びてきた。教団が本当に変わる日は来るのだろうか。