「インターネットやSNSと違うのは、書いている人の姿が見えること。だから変なことを書く人がいないんです」(藤澤さん)
かつて伝言板を使っていたという女性(62)は、「余白」に魅力があったと回顧する。
「たった一言でも、書いた人や伝言の受け手に思いを巡らせることができました。仲の良い同僚かなとか、若いカップルかなとか、いろんな物語や余白を想像するのも楽しかった。書き込める範囲や時間が限られているから、そこに人間味を感じられたんです」
現代ならではの使い方とも言えたのが、SNSと伝言板を組み合わせて、両方を効果的に使う人もいたことだった。藤澤さんは振り返る。
「書き込んだ内容を写真に撮って、ツイッターに載せて楽しんでいる方も見かけました。漫画『シティーハンター』を模倣して、『XYZ』と書く方もいたり。盛り上がりは想像以上でした」
ツイッターにアップされた伝言板の写真にも、さまざまなリプライが集まった。インターネットとアナログを掛け合わせるのは、新たな“余白”の楽しみ方の一つともいえる。(編集部・福井しほ)
※AERA 2021年12月6日号