2020年にマネジメント&レーベル「BMSG」を設立したSKY-HIさん。苦しい時間が長かったからこそ、そんな思いを他の誰にもさせたくない。それが原動力の一つだという。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
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――10代でデビューして17年が経つ。「芸能活動はつらいことの繰り返しだった」と語る。
SKY-HI:つらい時期が長かったんです。僕は割と個性が強い方で、従来のスタイルにハマらなかったことで、自分が大切にされていないと感じ続けてきたところがありました。
それでも愛してくださったり、自分のことを考えてくださった方はいて、そんな人たちへの恩や感謝は大切にしたいと思ってきました。
■全員で幸せになるぞ
――今年9月18日で、自身が設立したBMSGは2周年を迎えた。その4日後、「絶対に全員で幸せになるぞ。“全員”で。」とツイートした。社名にもその思いは表れている。
SKY-HI:BMSGは「Be My Self Group」の略です。昔の自分のような人を作りたくないという気持ちが強くあります。今とは逆の、みんなが幸せではない状態がつらかったので、そうではなくする方向に自然と向かったんだと思います。自分はラッパーでもあるので、歌詞を書く上で何が幸せなのかを突き詰めて考えたことがあり、たどり着いた結果が“いま”なんです。
クリエイティブには妥協しないことは、精神的にも次の段階に自分を連れていってくれた。それに、やっぱり人に優しくされたいし、自分が人に優しくできた時は気持ちいいですからね。
――なぜ、その境地にたどり着いたのだろうか。
SKY-HI:僕自身は、ラッパーとして希望や喜びだけでなく、怒りやシニカルな内容も歌っているんです。ただ、ブラジル人ミュージシャンのセルジオ・メンデスが、僕のライブを観て「エナジーとパッションが全部後ろ向きに行っていないのが最高だ!」と言ってくれて、「ああ、そう見えるんだ」と思ったことがあります。そこに本質がある気がしますね。
つらい思いをすることから逃げなかったことが大きいかもしれない。もし早めに逃げていたら攻撃的な方向に舵を定めることが正解だった気がします。それは一つの戦い方ですが、耐え忍んだ者にのみ許されるボーナスみたいなものが確実にあるんだと思っています。
それは漫画や映画、特に少年ジャンプ的な精神から学んだものかもしれません。大体、ジャンプの主人公は混沌とした世の中から出てくるでしょう(笑)。