東尾修
東尾修
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 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加する日本人メジャーリーガーたちに期待を寄せる。

【写真】「侍ジャパン」の大谷翔平選手と栗山英樹監督

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 1月の自主トレ期間、いろいろな球団の選手が集まって自主トレを行っている。一人でやるよりも複数でやったほうが効率は上がる。つい20年ほど前までは他球団の選手と合同トレを行うことは少なかったが、今は違う。

 近年はメジャーリーガーと合同トレを行うことが増えた。今年は3月にワールド・ベースボール・クラシックが控えていることもあるだろう。参加を表明しているダルビッシュ有のもとに、日本ハムの伊藤大海も足を運んだようだ。

 WBCで使用されるメジャー公式球の扱いを考えれば、メジャー経験者の知識は不可欠である。滑りやすいWBC球を扱おうとすれば無意識に指先に力が入り、前腕などに張りが出る。日本の公式球とは違った体の反応が出れば不安もつきまとう。どういったことが起きるか対処法を事前に知っておくのと、そうでないのとでは、3月の戦いに向けて大きな差が出る。

 2006年第1回大会はイチロー、大塚晶則、09年の第2回大会はイチロー、松坂大輔らが参加してWBC連覇を果たした。その時、イチローも松坂も日本の選手がやりやすい、力を発揮しやすい空気感を作り出していたと思う。あれから14年がたった。今の若い選手を見ていると、リスペクトはすれども、無用な気遣いはしなくなっているように感じる。大谷翔平やダルビッシュ、鈴木誠也が空気を作り出さなくても、自由で活発な雰囲気は作れそうである。

 そうであるなら、もう一つ、それはチームとしての結束力である。どれだけ技術が上回っていようが、勝利のためにかける集中力、気持ちという部分で劣っていれば敗れてしまうのが国際大会、一発勝負の怖さである。参戦を決めたメジャーリーガーは言葉だけでなく、背中で引っ張ってもらいたい。この人たちがここまでやっている。こんな細部にまでこだわってやっているという姿勢を見た若手選手は必ずついてくる。

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