■デルタより広がる恐れ
また、Sたんぱく質のRBDとは別の部位には、ヒトのたんぱく質分解酵素によって切断され、開く「開裂部位」と呼ばれる部分がある。ウイルスは、その部分が開裂されて初めて、ヒトの細胞に侵入することができる。オミクロン株はその部位にも変異が入っている。そのためにより開きやすくなり、ヒトの細胞に侵入しやすくなっている可能性もある。
こういったRBDや開裂部位の変異は、感染の広がりやすさに影響をもたらす。
南アの「NGS-SA」は、
「変異の起きた部位から、感染性が増していると予測できる」
と指摘し、確認するためのさらなる分析をすでに始めているという。
「アルファ株がほぼデルタ株に置き換わったように、社会で流行して広がるウイルスは、既存のウイルスよりも感染力が高く増えやすいウイルスです。南アフリカのゲノム解析を見る限り、デルタ株がどんどんオミクロン株に置き換わっています。つまり、オミクロン株はデルタ株よりもさらに広がりやすい可能性があります」(小原特別客員研究員)
(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2021年12月13日号より抜粋