理学部と農、水産、生物系学部は、どちらも東北大が1位となった。2位以降も上位は国立大を中心に7割を超えた。
一方、文系に目を向けると進学率は大きく下がる。法学部では、トップの京都大が31.9%で、2位以降は2割を下回る。文、外国語学部では2割を超えたのは京都大、東京大の2大学のみだ。
経済、経営、商学部では、東京大が9.7%、京都大が9.5%と、研究力トップクラスの大学でさえ1割を切った。そのなかで33.9%とずばぬけて高いのが岡山商科大経済学部。同ランキングでは、8年連続で1位だ。
なぜなのか。同大経済学部・井尻裕之准教授は、大学院進学に特化した教育プログラム「アドヴァンスト・クラス(特別演習)」が中国からの留学生に人気があるのも要因の一つ、と説明する。
「通常の講義に加え、高度なミクロ/マクロ経済学の講義、研究計画書の指導、面接対策などを行うクラスです。もともとゼミ内の独自の取り組みとして始まったのですが、このプログラムを受けに中国からの留学生が3年次編入で入学しています。留学生はバイリンガルであることに加えて、大学院の学位を持っていることが自国や日本での大手企業の就職に有利だと考えており、このプログラムを魅力に感じているようです。学部卒業後に大学院進学に目を向ける学生も多く、過去には東大の大学院に進学した学生も5名います。日本人学生も留学生に刺激を受け、博士号取得をめざし大学院に進学しています」(井尻准教授)
■アメリカでは修士と学部卒で初任給に1.5倍の差
海外では注目されるという「修士号」の肩書。アメリカの大学院教育に詳しい東京大学大学院教育学研究科の福留東土教授はこう話す。
「アメリカでは、修士号を持っている人は学部卒の人に比べて、初任給だけで1.5倍前後の差が生まれます。特に経営学などのビジネス系や教育系では、修士号を持つことに強い経済的なメリットがあります。日本では研究目的で大学院に進学するケースが多いですが、アメリカでは、大学での学びを実務でのキャリアに生かす目的で進学するケースが多い。大学院側も、そうした学生側のニーズに沿う教育を提供しようという意識を強く持っています」
大学院卒者の就職事情が日本と大きく異なるのには、二つの理由がある。一つは、採用の違いだ。