イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 わかりづらい? じゃあ、たとえを出してみよう。有名人同士のカップルが長い交際の末、別れたとする。結末はそうなってしまったとして、両人とも、交際していたことはお互いにお互いを成長させたと思っている。恋愛関係ではなくなったものの、お互いにリスペクトしあえる良い関係だ。でも「別れた」ことを面白おかしく報じようとする側は、そんな理由じゃ許さないだろう。

 で、聞くのだ。彼もしくは彼女の気持ちで交際当時と今と違ってしまったところはどこかと。本当は「嫌いになった部分は?」と聞きたいわけだが、それは直接的すぎる。でもって、技としてその質問をする前に彼もしくは彼女の「好きだったところ」なんてのも聞いているのかもしれない。そして、記事になるのは、どう心が変わったかの部分。

 話を元に戻すが、野党共闘を応援しているあたしにとって、立憲の代表選に出た4人の候補が共産党を含んだ共闘を今後さらにどう進化させていくのかはとても関心があるのは事実。けど、そのことを聞くにしても今のメディアになんらかの意図があるのが透けて見え、違和感があるのも事実。

 普通に「野党共闘について意見を述べよ」でいいわけで。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

週刊朝日  2021年12月17日号

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