──あらためて、「マー姉ちゃん」の魅力とは。

 例えば最初のほうのお話で、マー姉ちゃんが好きだった人は実は自分ではなく友達が好きで、それがわかって失恋するんですが、15分でふっきっているんです(笑)。最後、笑顔で終わっている。自分をふった男性を応援までしている。同じ回で妹のマチ子もデビューしてニュースになるんですよ。ここでぐっとくるのは、サザエさんと同じで「自分のことはさておいて」なんですよ。妹が世に出るのを喜んでいる。

──確かに自分のこと以外で一喜一憂するヒロインは最近見ないですね。

 今のドラマの主人公はあくまでも「自分」なんです。自分の悩みが一番なんですよ。でもマー姉ちゃんは、違う。今ではそんなドラマ、もう成立しないと思います。そういう意味でも本当にいいドラマ。私の原点であり宝物。(主演した)私が言っちゃあいけないのかもしれませんが、42年前なので言わせてください(笑)。2022年3月まで放送しているので、ぜひこれからでもご覧いただけたらうれしいです。

(聞き手/本誌・工藤早春)※長谷川町子作品を刊行した出版社

谷真実(くまがい・まみ)/1960年、東京都生まれ。79年、NHKの連続テレビ小説「マー姉ちゃん」でヒロインを務める。以降、女優として多くのドラマ、舞台、映画に出演。「マンザナ、わが町」(2015年)で紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀女優賞受賞。12月17~26日、舞台「雪やこんこん」(東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)に主演する。

週刊朝日  2021年12月17日号

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