視覚障害者と共に映画を楽しむ環境づくりを20年以上続けてきた平塚さん。この映画で、見えない人に「手話」を届けるという前人未到の挑戦を行った。見える・見えない、聴こえる・聴こえない様々な人々が集まって、良いものを作るために議論する。対等に物を言い合う姿が尊く感動的だ/photo(c)Chupki
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 耳の聴こえない人と演劇との架け橋になろうとした舞台手話通訳者たちの短編記録映画を、目の見えない人たちにも伝えたい──。見える人見えない人など個性豊かな面々が壁にぶつかりながらも、諦めずに作る「音声ガイド」。「こころ」を渡していく通訳の本質に迫るドキュメンタリー──。連載「シネマ×SDGs」の26回目は、「こころの通訳者たち」のプロデューサー、平塚千穂子さんに話を聞いた。

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 私が代表を務める映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」では、すべての映画に音声ガイドと日本語字幕をつけています。ある時、山田礼於監督から、耳の聴こえない方々に演劇を伝えようとする3人の舞台手話通訳の方々を撮った短編ドキュメンタリーに、「音声ガイドをつけられないか、その過程も併せて長編ドキュメンタリーにしたい」という企画をいただきました。私は20年以上見えない人に「映像を伝えたい」と映像を言葉に置き換えて伝えてきたので、演劇を聴こえない人に伝えたいという思いもすごくわかりました。

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 でも、目の見えない人たちに、言葉を発さずに聴こえない人のために手話通訳者たちが悩みながら構築していった手話表現をどう伝えるか。簡単なことではありません。この音声ガイドを作るにあたっては、いつも一緒に作っている仲間ではなく、視覚障害者や聴覚障害者、俳優など、異色のメンバーでスタートしました。

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