それはさておき、たった一度のテレビ歌唱にもかかわらず、たくさんの御好評を頂戴しました。普段だったらもっと「吐き気する」だの「二丁目だけでやってろ」といった野次が多いものの、さすがは木梨憲武。さすがはマツコ・デラックス。真の大衆役者(メジャータレント)は違うなと、改めて痛感した次第です。

 ただ、好意的な反響を頂く度に、いつも気になることがあります。それは「次はどの番組で歌いますか?」「次回作はまだですか?」という声。あれは一体どういうつもりなのか? 例えばYouTubeなどで「生配信」なんかをやっている最中にも、「次はいつですか?」と質問してくる人が、かなりの頻度でいます。今やってるんですけど……。食べ終わる前から「おかわり」のことを考えるなんて、実に貧しい。意地汚い。はしたない。豊かな時こそ貧しさは際立つものです。気を付けた方がよろしいかと。

 あと、「普通に」という日本語も失礼です。「マツコの歌、普通に上手くてびっくり!」って、あなたたちは普段どれだけ他人を見くびって生きているのか。オカマを観て「普通にキレイ」とか、まず鏡を見てから言って頂戴。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2021年12月17日号

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