年齢を重ねるごとに働く喜びが増加する女性に対し、減少していく男性。特に40~50代の男性は約3人に1人しか働く喜びを実感していないという。その理由について専門家に聞いた。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
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40~50代の男性は、なぜ「働く喜び」の実感値が低いのだろうか。
「働く喜び」の向上には、周囲との信頼関係や上司・同僚からのフィードバックが重要だという。リクルートはこうした観点からの分析調査も行った。
「上司や同僚から仕事についての適切な評価やアドバイスがもらえる」という周囲からの「フィードバック」は、50代男性が35.1%と、他の性・年代に比べて最も低い値になった。ちなみに、男性で最も高い20代は51.9%。女性は最も低い40代で42.2%、最も高い20代で49.7%の幅だった。
また、「この職場の同僚は、信頼できる存在である」との質問に、「あてはまる」と回答したのは、40代男性が最も低く45.9%。「この職場の上司は、自分を信頼していると思う」との質問に「あてはまる」と回答したのも40代男性が最も低く43.3%だった。40代女性の55.8%(同僚への信頼)、49.5%(自分への信頼)と比較しても低水準なのがわかる。
つまり、上司や同僚との「信頼関係」も、上司や同僚からの「フィードバック」の実感値も、40~50代男性が底となり、「働く喜び」の低さと連関する傾向が浮かんだ。
この分析結果について、リクルートHR統括編集長の藤井薫さんはこう指摘する。
「職場における信頼関係とは、互いに協力し合う関係であるとも考えられます。40~50代男性の信頼関係に関する値が低いという調査結果は、他者の手助けを行い、時には他者に頼るといった相互依存のやりとり・コミュニケーションが希薄になっていることが推察されます」
コロナ禍で二極化する「働く喜び」。40~50代男性は職場のネットワークから取り残され、「存在と信頼」において孤立しているようにも見える、と藤井さんは警鐘を鳴らす。