■ドゥシャン・ヴラホヴィッチ|フィオレンティーナ

 今、セリエAで最も“ノッている”ストライカーだ。15歳で母国セルビアの名門・パルチザンとプロ契約を果たし、2018年にフィオレンティーナへ加入。直後は苦戦を強いられたが、本人が兄と慕うフランク・リベリーらの助けもあり、2020-21シーズンに21ゴールと覚醒。その勢いのままに今季もすでに15ゴールを奪っており、守備の国イタリアで得点ランク首位を走っている(18節終了時点)。

 そんな21歳FWの現行契約は2023年6月まで。フィオレンティーナは延長に向けてクラブ史上最高年俸を提示するなどあの手この手を尽くしたが、ついに10月、ロッコ・コミッソ会長が「我々の努力もむなしく、どのオファーも受け入れられことはなかった」とギブアップ。クラブ側も認めているため、移籍金の発生する期間中に新天地へ行くことは間違いないだろう。

 すでに世界各国のビッグクラブが触手を伸ばしていることが伝えられており、ロッソ会長は「ユヴェントスなのか、アーセナルなのか、世界のどこへ行くのかは分からない」と具体的なクラブ名も挙げている。特に苦戦が続くユヴェントスは、後半戦の巻き返しのためには喉から手が出るほど欲しいストライカーだ。だが、同時に会長は「誰からの脅しにも屈しない」とも宣言しており、安売りすることはないだろう。ヴラホヴィッチ本人にとっては、最高の環境であるフィオレンティーナをシーズン途中に離れる必要性はないかもしれない。だが、市場価値は8000万ユーロ(約102億6000万円)とも言われる中、1月の動きには世界中が注目している。


■フレンキー・デ・ヨング|バルセロナ

 加入後3シーズンで100試合以上に出場する中心選手を、バルセロナは放出したくないのが本音だろう。しかし、クラブは13億ユーロ(約1667億3000万円)を超える負債を抱えているのが現状で、チャビ監督も熱望するストライカー獲得のためには、選手売却による資金調達しかない状況に追い込まれている(セルヒオ・アグエロという偉大なストライカーが残念ながら引退を余儀なくされ、その必要性はさらに高まった)。

 その筆頭候補と指摘されるオランダ代表MFだが、父親であるジョン・デ・ヨング氏も「問題を解消するため、フレンキーへの魅力的なオファーが役立つことは理解している」と認めている。マンチェスター・ユナイテッドやバイエルン・ミュンヘン等の接触が伝えられる中、バルセロナ側は獲得に費やした8600万ユーロ(約110億3000万円)を少しでも回収することを目論んでいるという。

 ここへ来て、夏には1度拒否していたCVCキャピタル・パートナーズからの資金調達に向けて交渉を進めているとの情報もリークされたバルセロナだが、間近に迫った移籍市場に向けて決断を迫られている。レジェンドが帰還し、中盤にはガビやペドリを筆頭に魅力あふれるカンテラーノが輝きを放ち始めた。どこかペップ・グアルディオラ黄金期の始まりを思い起こさせるような状況の中、数少ない選択肢の中で「最も移籍金の期待できる」デ・ヨングが去るシナリオも十分に考えられる。

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日本人選手で去就に注目集まるのは?