関西の別の大学に勤める女性教授は、一部の講義で「対面」「オンラインで同時視聴」「録画を視聴」の3通りの受講方法を用意する。学生に合わせた選択肢が必要だと考えた。対面再開当初は50人の受講生のうち、対面参加が1~2人、オンライン参加が5人程度、残る大半は録画視聴という日もあった。現在は対面で参加する学生も増えてきたが、それでも多くの学生がオンラインで受講する。本音を言えばもう少し教室に顔を出してほしいと思うが、こうも話す。

「大学まで片道2時間かかる学生もいて、無理に来る必要もない。コロナ禍で学生生活が制限され残念な面もあったけれど、いまでは海外で活躍する卒業生にゲスト参加してもらい、ニューヨークや上海とつないで講義を行うということが当たり前にできるようになりました。こうした経験をして社会に出る学生たちが楽しみでもあります」

「かわいそう」だけにとどまらない多様な学生と、新たな授業形態を模索する大学の姿があった。(編集部・川口穣)

AERA 2021年12月27日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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