原:この映画に出演して一番大きな収穫は、声の使い方を学んだことです。お芝居した後に録ったセリフを聴いて、自分の中でもう一回考え直してセリフを組み立て直して録り直す。より良いものを作るというトライ&エラーを何度も繰り返したので、声の使い方の技術的な面がすごくわかるようになりました。自分の声も客観的に聞けるようになったと思います。それに、右も左もわからないところから全てを教えてもらったので、「当たって砕けろ」のような度胸もついたかなって思います。
松村:僕は今までお世話になった現場が実写ばかりで、どうしても現場は現場、制作は制作というような、監督たちのベースの雰囲気や会話、熱量などがもう一つ遮断されているような気がしていたんです。でも、今回の現場はガラス一枚を挟んではいますが、同じ空間にみんながいて常にやりとりしていました。真ん中に座っている新海監督が全部、背負ってくれているようなものすごい安心感、そして責任感を感じました。作品が出来上がっていく現場を初めて見て、ここにはここにしかないものがあると感じました。奇跡的なものが出来上がっていく、偶然ではない現場を経験したことは、巡り巡って僕のこれからの全てに影響しそうだと思いました。
絶対に面白い映画になっているので、多くの方に見てほしいです!
(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2022年11月7日号