ブラジル・サンパウロのラジオ体操(全国ラジオ体操連盟提供)
ブラジル・サンパウロのラジオ体操(全国ラジオ体操連盟提供)

■3代目の体操は70年続く完成版

 ラジオ体操を熱望する国民の声にGHQも軟化し、後に復活。46年4月には、初代とは異なる運動と音楽が考案され放送が開始された。しかしこの2代目体操は動きが難しすぎ、あまり普及せず47年8月に中止に。

 そして51年5月。3代目の放送が始まった。

「3代目体操は、日本中から運動の権威と呼ばれる人を十何名も集めて完成しました。そのため全国に『ラジオ体操は私が作った』と語る方がいらっしゃったようです(笑)。『いつでも、どこでも、だれでも』をコンセプトに、女性の専門家にも入っていただき、スカートをはいた女性でもできるように作られました」(同)

 52年6月には負荷の強いラジオ体操第2も登場。高度経済成長期の職場で実施された。3代目体操が登場して早70年。モデルチェンジもなく続いているのは、それだけ完成度が高いからだろう。

 ラジオ体操は日本人のDNAに組み込まれているのか。福士さんによると、ブラジルの日系人も実施しているという。

「78年、リベルダーデ(サンパウロ市内の日本人街)にラジオ体操会ができ、ずっと活動を続けています。数年前には現地から要請があり、私たちのほうから講師を派遣して指導をしました」

 近年は、日系以外の外国人からも注目されている。マレーシア、ロンドン、ハワイ、モンゴル、ペルー、トンガから、講師を派遣してほしいというオーダーがあったという。福士さんは2018年にモンゴル、19年にペルーで指導した。

「モンゴルの子どもたちはユーチューブを見て慣れていたので驚きました。ペルーでは、大統領が子どもの健康のために3分程度の運動をするよう指示。それで教育庁がラジオ体操に目をつけたのです。大統領を招いた学生のスポーツ総体の開会式でラジオ体操をすることになり、開会式に出る生徒への指導も行いました」

 100年の時を越え、我がラジオ体操が世界中で行われる日も近い!?(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2022年11月4日号

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