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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:怒りの表出がヘタクソです。怒りを感じた時も表情を変えずにのみ込んでから後で苦しみます。子どもの時はそれを美徳と思っていたけど、社会人になって怒りをまき散らしても平気な顔をしている人を周りで見たら、自分の我慢は何だったのかと思いました。私が怒りをまき散らせるのは、LINEに作った自分ひとりのトークルームです。(女性/無職/31歳/しし座)

A:怒ることって僕はかなり訓練が必要なことだと思っています。怒りを発散できる人たちは、僕から見たらプロスポーツ選手とかそういう次元の人たちと同じ世界にいるような感じ。テニスにしても卓球にしても、始めたばかりの人はラリーも続かないしサーブも打てません。怒るのも同じで、関係性や構造を瞬間的に理解して相手の矛盾点を突いたり、反論されても押し切ったり、訓練が必要で実戦慣れしていないとできません。感情的になっている状態で話を冷静にまとめられるのは、怒りのプロ。それはセンスもあるし、訓練もあるし、育ってきた環境とかも関係している気がします。

 そして、怒られたり大きな声を出されたりすることはトラウマにもなりやすいことです。周りへダメージを与えてしまう。怒ることに対してブレーキがかかってしまうのは仕方ないことだと思います。

 ただ、怒ることをしないで「なかったこと」にし続けていると、どんどん自分の中で腐敗物がたまってしまいます。感情自体が死んでいってしまう可能性もある。だから、やっていただきたいことが二つあります。

 まずは多少言い負かされてしまったりしたとしても「ここは納得できません」「ここは少し引っかかります」という主張はしていくこと。積極的に怒りの表出の訓練を積む必要はありません。うまく全部説明できなくてもいいんです。自分が出したい怒りの10分の1程度で構わないから、出しておいてください。

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