大倉孝二(おおくら・こうじ)/ 1974年生まれ。東京都出身。劇団ナイロン100℃の看板俳優として、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した「百年の秘密」など、多くの劇団公演で活躍。近年の舞台出演作に、「マシーン日記」「イモンドの勝負」「世界は笑う」などがある。2014年に脚本家・演出家のブルー&スカイと演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げ。宣伝ビジュアルのイラストも手がける。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
大倉孝二(おおくら・こうじ)/ 1974年生まれ。東京都出身。劇団ナイロン100℃の看板俳優として、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した「百年の秘密」など、多くの劇団公演で活躍。近年の舞台出演作に、「マシーン日記」「イモンドの勝負」「世界は笑う」などがある。2014年に脚本家・演出家のブルー&スカイと演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げ。宣伝ビジュアルのイラストも手がける。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
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 映画「ピンポン」(2002年)出演以来、大河ドラマや月9ドラマなどに出演し、活躍する俳優の大倉孝二さん。演劇に取り組み始めたきっかけは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さん率いる劇団「ナイロン100度(ひゃくどしー)」に出会ったこと。14年には演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げした。11月には4回目となる公演「どうやらビターソウル」が始まる。

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 子供の頃からこらえ性がなかった。好きなものにはとことん熱中するが、興味がないものに取り組むことはとにかく苦手。自覚はないが、周りから、「社会生活に適していない。俳優を仕事にできて本当によかったね」と言われることがままあるという。

 俳優と一口に言っても、役によって取り組み方はさまざまだ。これまでに、おそらく興味の持てない役のオファーもあったはずだが。

「いただいたお仕事だからといって、『スケジュールが合えばなんでもやります』というわけではなくて、マネジャーとは割ときちんと話し合います。自分は気が進まないけど、マネジャーの『やったほうがいい』っていう意見を尊重するときもありますし」

■楽しんでもらえることが救い

 自分の感覚や生理に忠実に生きてきた大倉さんだが、KERAさんの舞台がシリアスに傾き始めた頃は、芝居の意図をくもうと頑張った時期もなくはない。

「生意気にも、『このセリフがどういう意味かわからないから、言えないです』みたいなことを言ったこともあったと思う。でも、他の演出家さんの舞台に出たとき、『意味がわかんなくたっていいよ』って言われて、『そうだな』って納得して以来、なるべく理屈では考えないようにしています。無理していろんなことを考えようとしても、元々そういうことには向いてないとわかったので。年を重ねていいなと思うところは、できないことが淘汰されて、シンプルになっていくことですね(笑)」

 反対に、年齢を重ねてどんどん難しくなっているのがセリフ覚え。じっとしていて覚えられるタイプではないので、ぐるぐる歩き回りながらひたすら台本を黙読する。

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