
映画「ピンポン」(2002年)出演以来、大河ドラマや月9ドラマなどに出演し、活躍する俳優の大倉孝二さん。演劇に取り組み始めたきっかけは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さん率いる劇団「ナイロン100度(ひゃくどしー)」に出会ったこと。14年には演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げした。11月には4回目となる公演「どうやらビターソウル」が始まる。
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子供の頃からこらえ性がなかった。好きなものにはとことん熱中するが、興味がないものに取り組むことはとにかく苦手。自覚はないが、周りから、「社会生活に適していない。俳優を仕事にできて本当によかったね」と言われることがままあるという。
俳優と一口に言っても、役によって取り組み方はさまざまだ。これまでに、おそらく興味の持てない役のオファーもあったはずだが。
「いただいたお仕事だからといって、『スケジュールが合えばなんでもやります』というわけではなくて、マネジャーとは割ときちんと話し合います。自分は気が進まないけど、マネジャーの『やったほうがいい』っていう意見を尊重するときもありますし」
■楽しんでもらえることが救い
自分の感覚や生理に忠実に生きてきた大倉さんだが、KERAさんの舞台がシリアスに傾き始めた頃は、芝居の意図をくもうと頑張った時期もなくはない。
「生意気にも、『このセリフがどういう意味かわからないから、言えないです』みたいなことを言ったこともあったと思う。でも、他の演出家さんの舞台に出たとき、『意味がわかんなくたっていいよ』って言われて、『そうだな』って納得して以来、なるべく理屈では考えないようにしています。無理していろんなことを考えようとしても、元々そういうことには向いてないとわかったので。年を重ねていいなと思うところは、できないことが淘汰されて、シンプルになっていくことですね(笑)」
反対に、年齢を重ねてどんどん難しくなっているのがセリフ覚え。じっとしていて覚えられるタイプではないので、ぐるぐる歩き回りながらひたすら台本を黙読する。