「大仏はインドで作られた像です。春には境内の桜、秋は紅葉に囲まれ、日本、インド、自然の美しさが融合した独自の世界が楽しめます」(同)
■力合わせ作っただいぶっつぁん
地域の人から特に親しまれている大仏には、大佛寺の「高岡大仏」(富山県高岡市)、慈眼院の「高崎白衣大観音」(群馬県高崎市)、大船観音寺の「大船観音」(神奈川県鎌倉市)を挙げた。
このうち、現在の高岡大仏は1933年にできた3代目。木造だった初代と2代目は火災で焼けてしまった。そこで3代目は「銅器の街」として知られる高岡市の地元業者の技術や力を集めて、焼失しないように青銅製の大仏とした。
「みんなの力を合わせて作ったこともあって、親しみを感じてもらえているのではないでしょうか。町の人たちからは『だいぶっつぁん』と呼ばれ、前を通りかかる際には頭をペコッと下げてくれます」(大佛寺)
1936年にできた高崎白衣大観音は、昭和期以降にできた100メートル級、数十メートル級の巨大な立像タイプの大仏としては草分け的存在だ。大船観音は、胸像ながらも高さは25メートルに達し、近くを通る電車からも目にできる。
「いずれも地元の人が参加できるお祭りやイベントが開かれ、まんじゅうや最中といった大仏様をモチーフにしたお菓子も売られています。町ぐるみで親しまれている温かいムードが感じられます」(半田さん)
(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2022年10月28日号より抜粋