就寝シフトを守るための「逆算式プランニング術」
日本の平均通勤時間は片道約40分(※5)だが、次の理由から、通勤時間を「1時間」とし、一般的な「8時~17時」勤務の例で説明していく。
通勤時間とは一般的に、「家の玄関を出てから会社着まで」とされる。だが実は、「(1)靴を履いて鍵を閉める時間」と「(2)会社の入口から席に座るまでの時間」が意外にある。自転車や車通勤の人は、ハンドルを握って動きはじめるまでが(1)に含まれ、会社の駐車(輪)場から席に座るまでが(2)となる。
(1)(2)を合わせて「10~20分」で計算し、それを通勤時間に加えるだけで、朝の慌ただしさがなくなる。ぼくもある時期まで、(1)(2)の計算が抜け落ちていて、約束の時間に「間一髪アウト!」をよくやっていた。
8時の始業に間に合うべく、7時に自宅を出るためには、起床時間は何時になるか。多くの人が「ざっくり1時間前」にしがちだが、それだと余白がなくなりバタバタしてしまう。
理由はあらためて解説するが―本連載の提案は「リラックスの1時間+朝のルーティン30分=計1時間半」なので、5時半起床とする。前述の西野教授の指標「7時間程度の睡眠」を採用するならば、遅くとも22時半には入眠したい。
そして、遅くとも眠る1時間前には、日中の仕事で「交感神経」が高まって緊張状態にある自律神経を、リラックスモードである「副交感神経」にシフトする必要がある。
夜の明るい照明は交感神経を刺激するため、「消灯時間」を決めて、21時半までには部屋の照明を落とすこと。男性は30歳、女性は40歳以上になると、加齢によって交感神経が優位になりがちだと知っておいてほしい(※6)。
当然、キャンドルや間接照明で過ごす穏やな時間は、極上のセルフケアタイムとなる。「毎晩キャンドルタイムを過ごす」。そう考えるだけで、幸せな気持ちにならないだろうか。
※1 西野精治『大学教授が教える 熟睡の習慣』PHP新書(2019)
※2 三島和夫「長く眠ると健康に悪い? 死亡率と睡眠の意外な関係」National Geographic日本版(2019)
※3 Hans P.A. Van Dongen, Greg Maislin, Janet M. Mullington, David F. Dinges(2003) “The cumulative cost of additional wakefulness” Sleep,26(2): 117-126.
※4 Arianna Huffington「短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言」日経スタイル(2016)
※5 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査―生活時間に関する結果」
※6 順天堂大学小林弘幸『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』サンマーク出版(2011)
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(本原稿は、四角大輔著『超ミニマル主義』から一部抜粋したものです)