そして安倍晋三元首相銃撃事件が7月8日に起こり、現場で取り押さえられた山上徹也容疑者が同教団への恨みを動機として語りはじめた。
「安倍氏の死はショックだった。何があっても銃撃は許される行為ではない。ただ、メディアが権力と教団の関係について監視できておらず、このような不幸な結果を招いた」
しかし、事件直後は多くのメディアは教団について沈黙した。この瞬間、覚悟を決めた。
空白のこの10年、安倍政権と教団とのいびつな互恵関係を細々、記事にしてきたのは自分ぐらいだ。
「ここで僕が声をあげなければ、この問題は広がらない。なぜ、事件が起こったのか。みんなで考え、追ってほしい」
エイトさんは政治家100人と同教団との関係を検証した情報をリストにまとめてメディアに情報提供。問題に火がついた。
その一方、尾行されたり、身辺に危険を感じることもあり、警察にパトロールをしてもらっている。なぜ、ここまでして10年以上、取材を続けたのか。
「政権への忖度(そんたく)、教団の抗議を恐れ、誰もやらないなら自分がやってやろうと思った。見向きもされなかった時とは状況が一変した。怖くないといえば、ウソになる。だが、やれるところまでやりたい」
(元週刊朝日編集長・森下香枝)
*週刊朝日オンライン限定記事