「実は悪いやつじゃない貞子」とは斬新な切り口だが、原作者の鈴木さんが思い描いている貞子像はさらにその上を行く。長年温めている映画のタイトルは、なんと「貞子 the ミュージカル」だ。
「映画『ラ・ラ・ランド』を100回ぐらい見てて、あの世界を作りたい。50人の貞子がキレッキレのダンスをして出てきたら壮大よ。元々、貞子は女優志望の素晴らしい美人の設定なの。小説を書いたときイメージしてたのは鈴木保奈美。だから物語は劇団を舞台にして、貞子は最終的にミュージカル女優になる。みんなびっくりするだろうね。エンターテイメントでは、固定観念が破壊されたときが一番面白いんだから。さらに次の作品は、貞子が世界を救う話。悪霊が出てきて、『今だ貞子、お前の出番だ!』って言うと、正義の味方・貞子が退治してくれて……」(鈴木さん)
貞子はまだ当分、世の中の注目を集め続けそうだ。そういえば、前出の氏家さんは、ポロリと怖いことを口にしていた。
「呪いのビデオを見たら他の人に見せなきゃいけないように、貞子の本懐って“自己増殖”なんです。今、日本では、『リング』を見たことがなくても、ほとんどの人が貞子を知っている。自分の存在を広めたいという貞子の目的は、現実世界で達成されつつあるんですよね」
(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日オリジナル記事