「仮に教団への解散命令などの強い方針を消費者庁が打ち出すとして、法務省や文科省がOKするのか。縦割りの壁を打破するためにやってきた河野氏ですが、いつも壁にぶつかり、最後まで決着を見たことはほとんどない。一人で動くのではなく、自民党内で一丸となって動くチームをつくって若手やベテラン議員を巻き込まなければ、問題は解決しないでしょう」
河野氏も、最近は派閥の長である麻生太郎副総裁に「若手の面倒を見ろ」と叱咤されたこともあり、定期的に後輩議員との勉強会を開いているという。こうした努力が実り、国民が納得する着地点を見いだすことができたとしたら、その後はどんなシナリオが待っているのか。前出の伊藤氏はこう語る。
「政権の支持率がさらに下がり、来春の統一地方選に負けるような事態になれば、岸田首相の責任問題になる。ただ、野党が非力な中、岸田政権が超低空飛行で続く可能性が高いのではないか」
そうなると、事態が動くのは2年後、24年の総裁選だ。キーマンは、「国葬」での安倍晋三氏への感動的な弔辞で首相時代のマイナスイメージを払拭したかにも見える菅義偉前首相だという。
「菅氏と河野氏は関係が深い。菅氏が後見人として河野氏を立てようと動けば、麻生氏は『大宏池会構想』を進め、別の候補者を立てようと対抗するでしょうが、そこで河野氏が麻生派を割って菅グループへ行く可能性がある。菅氏のグループは二階派と合わせても少人数だが、そこに、リーダー不在に陥っている安倍派の一部がつくなどすれば勝算があるかもしれない。複雑な連立方程式になるでしょう」(伊藤氏)
(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2022年10月14・21日合併号