「10月3日からの臨時国会も厄介なことになる。教団関係者は地方政界にも根を張っていて、教団と自民党との関係は断ち切れない。山際大志郎経済再生相と細田博之衆院議長の首を差し出して刷新感を出し、別のテーマに持っていきたいが、それで収まるとは思えない」(前出の政府関係者)
河野氏の状況も順風満帆ではない。昨年9月の総裁選に石破茂氏、小泉進次郎氏との「小石河連合」で挑んだが、決選投票で岸田氏に大差で敗北。「党広報本部長」という格下ポストを余儀なくされた。8月の内閣改造でデジタル相や消費者相を兼務する立場に返り咲いたが、外相経験者としては物足りないだろう。
党内には河野氏への厳しい評価も根強い。
「河野氏にはこれといった実績がない。ツイッターやオンライン会議をやって、発信力と突破力が売りだが、能ある鷹は爪を隠すものだ」(安倍派ベテラン議員)
ただし、しがらみが多すぎる旧統一教会問題に自民党が苦しむ中、河野氏のようなタイプに活躍のチャンスがあるとも考えられる。政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。
「河野氏は国民には人気があるけれど、党内では異端児扱いで嫌われる。突破力、アピール力があるので、がらっとムードを変えられる。自民党がよほど追い詰められた時には必要な人材です」
■縦割り打破にはチーム力も必要
思えば、党内で人望がない“変人”がトップに上り詰めた例は過去にもある。2001年の総裁選で勝利した小泉純一郎氏だ。失言が相次ぐなどして森喜朗首相(当時)が辞任に追い込まれ、自民党が低支持率にあえぐ中、「自民党をぶっ壊す」と叫んで旋風を起こした。「統一教会をぶっ壊すことは自民党をぶっ壊すことだから、自民党自身にはできない」(閣僚経験者)というあきらめの声が聞こえる状況の中、異端児の出番は十分にある。
ただし、旧統一教会問題に関して「結果を出す」のは容易ではない。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。