
昨年の高津監督は「絶対、大丈夫」とチームを鼓舞し、その気にさせていった。今年は昨年の日本一となった自信をベースに、ある程度選手を信頼し、安心感を与えながら年間をマネジメントしていたように思う。決して自らのつらさや、葛藤を出さなかったことだろう。村上宗隆の存在は確かに大きなものだったが、年間を通じて、戦い方にもブレはなかった。
パ・リーグは最後の最後までやはりもつれた。この原稿の執筆時点では、まだ優勝は決まっていない。さらに3位も西武と楽天が残り5試合切っても争っている。9月28日の西武─楽天の一戦はテレビで見たが、西武が勝ち切った。今井達也が8回無失点。見事な投球だった。この1勝はとてつもなく大きいが、最後の一瞬まで集中力を切らさずに戦ってもらいたい。
CS、そして日本シリーズと、今年は圧倒的に有利な球団はないとみている。セ・リーグの3位争いも激烈だし、今年は最後の最後まで真剣勝負が見られることを幸せに感じている。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年10月14・21日合併号