澄んだ声と飾ることのない自然体で、いまやすっかり“夕方の顔”。そんな人気に拍車がかかったのは、飾り気ゼロのお弁当だった。ホラン千秋をひもとけば、根幹に流れる“解釈”が見えてきた。AERA2022年9月26日号の記事を紹介する。
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タッパーのなかで散らばる小松菜。ラップで区切ったハンバーグとラタトゥイユ。詰めたというよりは、ぶちこんだように見えなくもない。
タレントでキャスターのホラン千秋さん(33)は、自身のブログやインスタグラムに手作り弁当を載せている。だが、ぱっと見、流行(はや)りの「映え」とはまるで対極。どんと横たわるきゅうりのぬか漬けに、スカスカのとうもろこしご飯──。そんな自由な弁当が注目されている。
「自分では、お弁当の見た目がひどいなんて思ってもいなかったんです」
と、笑うホランさんだが、ファンやフォロワーの間では「鬼ヤバ弁当」として愛されている。
そうなったきっかけは?
「1食分の料理を作るのって難しいじゃないですか。ほうれん草がぱらぱらと入っているお弁当は、2日くらい保存容器として使って、その最後の1食分を冷蔵庫から出して持っていっただけなんです。どっちも同じ容器だから、詰め替える作業を省略すれば時短になります」
「残飯みたい」と言われ
ある時、ブログのネタに困り、目の前にあった弁当を載せた。
「そしたら『残飯みたい』とコメントがきて。母親も、『私がこういうお弁当を作っていたって勘違いされるじゃない』って戸惑っていました。私としては、キラキラしたデコレーション弁当と同列だとは思わないけれど、“あるもので工夫したお弁当”には変わらないよなという感覚だったんです」
料理好きだというホランさん。一つひとつのおかずはどれもおいしそうで、ラザニアなど手が込んだものもある。ただ、その盛り付けは、ときに質素で、ときに豪快。当初はビジュアルについて散々な言われようだったが、次第に変化し始める。