AERA 2022年10月3日号より
AERA 2022年10月3日号より

 第2次安倍政権で最初に浮上したのは、若い女性への配布を検討した「女性手帳」です。少子化を女性の問題と捉える思考が露わで、反発を受けてさすがに引っ込めましたね。安倍さんが企業に対して「育休3年」の自主的な推進を要請した「3年間抱っこし放題」も甚だピントがずれていました。

 一方で、女性が圧倒的に不利益を被っている現行の「夫婦同姓」を改める「選択的夫婦別姓」に反対する女性政治家たちを次々に男女共同参画担当大臣に据えました。例外は野田聖子さんだけです。

■存命なら矢面に

 銃撃事件後、旧統一教会と安倍さんをはじめとする自民党議員の密着ぶりが浮き彫りになった今、ジェンダー・フリーや性教育に対する安倍さんの執拗な攻撃の背後に、宗教右派の存在もあったことが容易にうかがえます。今、安倍さんが存命なら、統一教会問題の矢面に立たされていたことでしょう。

 経済政策も恐ろしい結果を招いています。12年12月の第2次安倍政権発足から首相を辞任するまでの7年8カ月間でどうなったか。例えば、12年平均で104.5だった実質賃金(15年を100とする)は19年平均で99.8まで下がりました。安倍さんは自身の政権下で雇用を増やしたと言いましたが、増えたのは非正規ばかり。正規雇用は横ばいです。円相場は今、円安が急加速していますが、円安の流れは安倍政権時代に大幅に進みました。

■法人・富裕層を優遇

 ほかにも、国民1人あたりのGDP(国内総生産)は20年に30位、労働生産性は21年で28位、正社員の男女賃金格差は主要国の中でワースト2位、22年のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位。つまり、安倍長期政権を経て、日本は二流あるいは三流国になった。これらはすべてアベノミクスの帰結です。安倍政権の経済政策は端的に「法人・富裕層優遇策」でした。

 私たちはコロナ禍のみならず、「コロナ対策禍」にも見舞われています。国のコロナ対策が増幅した災いです。私たちは災害の経験から「減災」という概念を生み出しました。地震もパンデミックも防ぐことはできないが、ダメージを減らすことはできる。減災の逆が増災です。その一つが根拠のない全国一律休校要請です。また東京五輪・パラリンピックの強行開催のもとで感染者と死者が増えました。現在「腐敗五輪」と呼ばれる「五輪疑獄」が問題になっています。安倍さんは「1年以内に国産ワクチンができる」と断言して1年延期に固執しましたが、国産ワクチンは現在も実現していません。

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