AERA 2022年9月19日号より
AERA 2022年9月19日号より

「ジムで汗を流し、『いきなり!ステーキ』で2千円の肉を食べるのが好きだったのですが、コロナ禍で出社の機会が減り、週3回は行けるようになりました」

 週末は友人とアラビアンレストランで3千円のランチ。在宅ワークの気晴らしに自宅から10分のホテルに宿泊したり、1時間で6万円するポルシェを仲間と借りて東京湾の人気スポット「海ほたる」に繰り出したり。

「意識しないけど、確かに『人生楽しんでる』と思います」

 ただし、住まいは駅から至近、家賃8万円の20平米に満たないワンルームだ。

「部屋や服、車など、モノを所有することに興味がないから、そこの出費は自然と抑えられる。都内のホテルにわざわざ泊まらなくてもと思われそうですが、自分の中で『オフの浪費』として区別がある。経済活動の優先順位がはっきりしているんです」

 高齢になっても住まいを賃貸契約できるか。家賃は年金や貯蓄内で収まるか。将来への不安もないわけではない。

 そもそも賃金の停滞や蔓延する生活苦は自助ではなく、国や社会が対策すべき課題だ。

 ただし、一つ、確信がある。

病気や事故に遭う以外、すべて自分ごととして生きた方が楽しい。『こんな世の中だから』を言い訳にしない。手の届く範囲のことは、自分で変えていく。考えを変えてチャレンジする先には、『楽しむ』が自然についてくると、いつも感じています」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2022年9月19日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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