「ジムで汗を流し、『いきなり!ステーキ』で2千円の肉を食べるのが好きだったのですが、コロナ禍で出社の機会が減り、週3回は行けるようになりました」
週末は友人とアラビアンレストランで3千円のランチ。在宅ワークの気晴らしに自宅から10分のホテルに宿泊したり、1時間で6万円するポルシェを仲間と借りて東京湾の人気スポット「海ほたる」に繰り出したり。
「意識しないけど、確かに『人生楽しんでる』と思います」
ただし、住まいは駅から至近、家賃8万円の20平米に満たないワンルームだ。
「部屋や服、車など、モノを所有することに興味がないから、そこの出費は自然と抑えられる。都内のホテルにわざわざ泊まらなくてもと思われそうですが、自分の中で『オフの浪費』として区別がある。経済活動の優先順位がはっきりしているんです」
高齢になっても住まいを賃貸契約できるか。家賃は年金や貯蓄内で収まるか。将来への不安もないわけではない。
そもそも賃金の停滞や蔓延する生活苦は自助ではなく、国や社会が対策すべき課題だ。
ただし、一つ、確信がある。
「病気や事故に遭う以外、すべて自分ごととして生きた方が楽しい。『こんな世の中だから』を言い訳にしない。手の届く範囲のことは、自分で変えていく。考えを変えてチャレンジする先には、『楽しむ』が自然についてくると、いつも感じています」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年9月19日号より抜粋