(photo 写真映像部・加藤夏子)
(photo 写真映像部・加藤夏子)

■音楽の楽しさ伝えたい

──第九演奏会は、12月に都内4カ所と横浜の合計5カ所で予定されている。他に、10月29日と30日に、第1部が歌手のさだまさしとの共演、第2部に第九の第4楽章合唱付き演奏という趣向を凝らした演奏会もある。

 今年は新日本フィル創立50周年、拠点のすみだトリフォニーホールが開館25周年の節目にあたる。新日本フィルは1988年に日本で初めて墨田区とフランチャイズの覚書を交わし、以来、地域密着型の楽団を目指して、区内の小中学校での出前授業や福祉施設での演奏など、区民との交流を深めてきた。出前授業は約1千回を数える。

 佐渡も同様に吹奏楽や合唱の指導、音楽の授業に取り組んでいる。5月には墨田川高校吹奏楽部の指導をした。音色が瞬く間に輝きを増し、コロナ禍で活動に不自由を強いられた生徒たちの心も明るく晴れて、好評を博した。

佐渡:墨田区は居心地のよさを感じます。物作りの街でもあり「すみだ佐渡さんぽ」ですでにいろんな企業の方にお目にかかりました。快く応対してくださってね、そんな街の方々に一人でも多くオーケストラ音楽の楽しさを知ってもらいたいです。

──来春からのプログラムは、ハイドン、マーラー、R・シュトラウスら、ウィーンで活躍した作曲家をレパートリーの中心にすえたラインアップだ。また、出演するソリストもピアニストの辻井伸行、ギタリストの村治佳織ら魅力的な顔ぶれだ。

親方:楽しみだな。僕たちは、墨田区で生まれ育ったわけではないけれど、ご縁があってここで暮らしたり仕事をしたりしている。お互い頑張って地元を盛り上げましょう。

佐渡:そうだね。よろしくお願いします。

──10月のコンサートシーズンまで、あとわずか。はっけよーい、のこった!

(音楽ジャーナリスト・原納暢子)

AERA 2022年9月12日号