「日焼けは絶対したくないから、日傘は欠かせません」

 涼しげにそう話すのは、「日傘男子」歴5年というアパレル企業で働く男性(31)。日傘を初めて差した日のことは覚えていないが、いつの間にか使うようになった。男性は言う。

「自分は周りの目を気にするタイプではないし、日傘を差す男友達もいます。なかには『使いたいけど勇気が出ない』という人もいるけど、汗をかいて暑い思いをするくらいなら、使ってみたらいいのにと思います」

 実は、「日傘男子」という言葉は、新語・流行語大賞にひっそりとノミネートされた過去を持つ。13年のことで、このときの大賞は東進ハイスクール講師・林修さんの「今でしょ!」などだった。

 あれから9年。日傘男子が流行したかはさておき、興味はあるものの、思いきれない。そんなためらいを持つ人は、確実にいる。都内の40代会社員男性もその一人だ。

「どうしても女性のものというイメージがあって、なかなか一歩を踏み出せないんです」

■「全然気温が違う」

 こうした男性の背中を押すべく、埼玉県庁の職員が17年から始めたのが「日傘男子」の啓発運動だ。

「一度騙されたと思って使ってみてください」

 そう日傘をおすすめするのは、同庁環境部温暖化対策課の木下志絵さんだ。今年の夏は、動物園や夏祭りなどのイベントで日傘の貸し出しを行った。ある日の体験会では、

「俺は大丈夫だから」

 と最初は遠慮気味だった人が、職員の差す日傘の陰に入るや、

「涼しくなった! 全然気温が違うね」

 と日傘の魅力に気づいてくれた。他にも、SNSでフォトコンテストを実施するなど、日傘を楽しくアピールする。だが、背景には切実な思いもある。木下さんは言う。

「埼玉県は気温がかなり高くなることもあって、熱中症の救急搬送者数が全国で3番目に多いんです」

 そのうち、約7割を男性が占めるという。

 紫外線カットはもちろん、熱中症の予防にもつながる日傘。秋の気配を感じる9月も、油断せずしっかり対策していきたい。(編集部・福井しほ)

AERA 2022年9月12日号より抜粋

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