今夏の記録的な猛暑によって大ダメージを受けている9月の肌は、ぐったり疲れた“夏バテ”状態にある。さらにコロナ禍のマスク着用が肌トラブルに追い打ちをかけている。「肌」を特集したAERA 2022年9月12日号の記事を紹介する。
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猛暑に加え、コロナ禍の今、肌トラブルの大きな要因となっているものがある。それはマスクだ。
奈良県の会社員、山田ヨウさん(30)は、マスク内のビショビショ環境が耐えられない。
ランニング中に水分補給をしようとコンビニに立ち寄る際は、マスクをして入店しなければならない。シャツの裾で顔の汗をぬぐって、マスクを着けて、店内へ。
「入って少し時間がたつと、汗が噴き出してマスクの中が濡れていくのを感じます。蒸れちゃっているんですかね。それで、最近、顎にポツポツとニキビができるようになっちゃって。髭剃りのとき、かなり気を使います」
都内に住む会社員の女性(51)は、コロナ禍のマスク生活になってから2年半以上、ずっと肌の異変を感じていた。
5割が「肌悩み増えた」
マスクが触れる鼻から下の部分が赤くなり、ヒリヒリと痛い。人にはこの赤みを見せたくないので、マスクを外したときは、顔を見られないようにハンカチで押さえているという。
「どうスキンケアすればいいんだろう?と、あらゆる敏感肌用のトライアルキットを試しましたし、リサーチにものすごい時間がかかりました。鏡も気になってずっと見ちゃうんですよね」
この女性のように、マスクによる肌トラブルを抱える人は想像以上に多い。オルビスが昨春、30~40代女性にアンケート調査を実施したところ、「マスク着用で肌悩みが増えた」と答えた人の割合は49.6%に上った。
具体的な肌悩みを聞くと、最も多かった回答がニキビ。次いで乾燥、シミ・そばかす、赤みの順だ。
「私のクリニック目白」にも、こうした症状を訴える患者が後を絶たないという。皮膚科専門医で同クリニックの平田雅子院長は言う。
「そもそも肌トラブルが起きやすい夏場に、長時間マスクをしなければなりません。気をつけなければならない状況です」
マスクが肌トラブルにつながることは、さまざまな研究でも明らかになっている。20年にポーランドで行われた調査では、前の週にマスクを着けた約1400人のうち、約20%がかゆみを感じた。