週刊朝日 2022年9月9日号より
週刊朝日 2022年9月9日号より

「でも、お酒をやめようとは思わなかったですね。夕方になるとソワソワして飲みたくなる。一種の依存症だったのですかね」と桜井さん。

 ところがある日、毎日飲むのはよくないと、思い切って1週間くらい休肝日をつくってみた。

「やめて4日目くらいに一日が長くなったことに気がつきました。夜8時ごろから深夜2時くらいまでダラダラしていたのですが、その時間にいろんなことができたのです。仕事をしたり、本を読んだり。これは新しい発見でしたね」

 と嬉しそうに話す。お酒をやめてもう3年を迎えるという。

 毎日、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと悩んでいたが、時間がなくなっていたのはお酒を飲んで長い時間を浪費していたためだと痛感し、心が軽くなった。さらに体も軽くなり、以前よりも動けるようになったと肉体的な変化も実感している。何より大きな変化は眠りが深くなったことだ。

「あれ、今日も朝まで目が覚めなかった、という日が続いたんです」

 桜井さんは軽い睡眠障害で、中途覚醒があった。明け方目が覚めて、そのまま眠れなくなるという生活をしていたこともあった。それが全くなくなったのだ。

「体も気分も最高に軽くなりました。もうお酒を飲む生活に戻れない、いや、戻りたくないです」と断言する。

 と、ここまで桜井さんのソバーキュリアス生活を紹介したが、実は記者もソバーキュリアス生活を始めた。まだ3週間目であるので大きなことは言えないが、桜井さんのお話に激しく同意することが多い。始めたきっかけは「一部の人もすなるソバーキュリアスといふものを、自分もしてみむとてするなり」という軽い気持ちであった。

 お酒をやめて2日目、夜12時に寝て目が覚めたら午前7時を過ぎていた。こんなことはここ数年なかった。桜井さんのように明け方に目覚めることが多くあった。最近は熟睡できて目覚めがいい。なんて素敵な時間ができたのだろう。そう心から思うひとときであった。

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