世の中には二つのタイプの人がいる。お酒を飲む人と飲まない人。昨今、お酒を飲まない“ソバーキュリアス”なる現象が広がりつつあるという。どんな生活が待っているのか。実践者と医師にソバーキュリアスの効果と実態を聞いた。
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コロナ禍で外出自粛が求められたとき、人々は家飲みを余儀なくされた。在宅時間が増えたことでお昼から家で飲む人が増えたともいわれたが、現在はコロナとの付き合い方がわかってきたことで、少しずつお店で飲む人も戻ってきている。
だが、そんなお酒をめぐる状況に変化が起きている。それがソバーキュリアスと呼ばれる現象である。
では、ソバーキュリアスとは一体何だろう。まずは、その言葉から。
ソバーとは英語のsoberで「しらふ」という意味。キュリアス(curious)は「好奇心が強い」。ソバーキュリアスとは、飲めるけど「あえてお酒を飲まない生き方」だ。最近はノンアルコール飲料をコンビニなどでもよく目にするようになり、お酒を飲まない人が増えているのを感じる。
その背景の一つが健康志向のようだが、お酒を飲むと楽しいし、コミュニケーションも活発になる。長年お酒を飲み続けた記者(58、男)は、お酒を飲まないなど考えたことは、肝臓を壊したとき以外は長年なかった。
どんな生活が待っているのだろうか。ソバーキュリアスを実践している人に話を聞いた。
「ソバーキュリアス生活を始めて、いいことばかりですよ」
と快活に、そして健康そのものという雰囲気を前面に出しながら話してくれたのは、作家の桜井鈴茂さんである。
桜井さんは365日毎日飲んでいた。1週間のうち3~4日は外で飲み、かなり深酒することも月に1~2度あり、そのたびに後悔していたという。
次の日にもお酒が残り体調が優れない。調子に乗って一緒に飲んでいた人にいらないことを話しすぎてモヤモヤする。この二つを体力的精神的に挽回するために翌日の大半を費やし、無駄な一日を過ごしたと、後悔を重ねる日々を送っていた。