人生100年時代に備えるには
「3つのポイント」を押さえるべし

 シフトに入る日は長めの勤務が必要になるので、体調やメンタルの状況次第ですが、収入は月間15万円、年間180万円(手取り額は年間150万円)を目指すと安心です。

 一方、支出を現在から約2割減らし、月間18万円、年間216万円に抑えるのはどうでしょうか。この場合、年間赤字額は66万円まで減少します。

 52歳から65歳までパートで働くとして試算しているので、年間66万円の赤字は14年間続きます。この間の累計赤字額は924万円(66万円×14年間)です。

 前述した52歳時点の金融資産額(2811万円)から、この累計赤字額を取り崩した場合、65歳時点の金融資産額は1887万円です。

 また、厚生年金に加入する形でパートに出た場合、65歳から受給できる年金額が増加するのは先ほど述べた通りです。

 増加額を月2万円とすれば、毎月の年金額は12万円(10万円+2万円)、年間144万円です。年間支出額は216万円のまま変わらないとすれば、年間赤字額は72万円です。65歳時点の金融資産額は1887万円であることから、金融資産は約26年強、つまりAさんが91歳まで持ちます。

 先ほどの試算よりは安心できる結果になりましたが、人生100年時代を考えると、まだ心もとないのは否めません。そのため、65歳以降の支出をもう少し見直してみます。

 実は、高齢単身世帯の毎月の平均支出額は約15万円(年間180万円)です。Aさんが支出額を前述の18万円から3万円減らし、この水準に合わせることができれば、年間赤字額は72万円から36万円まで半減します。

 65歳時点の金融資産額は1887万円なので、毎年36万円ずつ取り崩していくと、約52年間にわたって金融資産は持ちます(Aさんが117歳まで)。

 もし仮に、Aさんが月間支出額を15万円まで落とすのが難しく、16万円で手を打ったとしましょう。その場合の年間赤字額は48万円で、あと39年ほど持つことになります(Aさんが104歳まで)。これなら人生100年時代にも備えられるはずです。

 まとめると、

・52~65歳は、月間15万円(年間180万円/額面)程度の収入を目指す。
・パートの勤務先は、社会保険と厚生年金に入れる企業を選ぶ。
・65歳以降の支出は、月間15万~16万円(年間180万~192万円)程度に抑える。

 この3つのポイントを押さえると、老後の家計は安心です。

 不明な数字があったので試算は推測を交える形になりましたが、早期退職に当たってAさんの参考になれば幸いです。なお、退職金への言及がなかったため、退職金はないものとして試算しました。