年間189万円の赤字…
パート開始後の家計はどうなる?

 国民年金の支払いは60歳までなので、このペースでの出費は52歳から60歳までの9年間続きます。

 60歳になったAさんが、最後の国民年金を払い終えた時点で、累計で1701万円(189万円×9年間)を金融資産2811万円から取り崩しています。なので、60歳時点の金融資産額は1110万円(2811万円-1701万円)です。

 週3回のパートは、年金の受け取りが始まる65歳まで続けるとします。ただし、61歳から65歳までの5年間、年間収入は100万円で変わりませんが、国民年金の支払いがなくなるので、年間支出は270万円に減ります(国民健康保険の支払いは続きます)。

 そのため、年間赤字額は170万円(100万円-270万円)に減少し、5年間で累計850万円(170万円×5年間)を残りの金融資産(1110万円)から取り崩します。65歳時点での金融資産額は260万円(1110万円-850万円)になっているでしょう。

 65歳からは年金の受給が始まります。見込み額の記載がありませんが、51歳まで厚生年金に加入していることを考えれば、年金受給額は月間10万円(年間120万円)程度になると思われます。

 一方、年間支出額が270万円で変わらなければ、年間の赤字額は150万円です。65歳時点の金融資産額は260万円なので、わずか1年半ほどで金融資産が底を突いてしまいます。

 今回の試算では、正社員として働いている時から支出額を抑えない限り、再就職後の生活がままならないという結果が出てしまいました。

 では、こうした事態を防ぐにはどうするべきでしょうか。相談文にも「月の収入・支出額はどの程度が望ましいでしょうか」と書かれているので、ここからは家計の「見直し案」を考えてみます。

 ただし、ゆっくり休むことを優先し、すぐに退職するというプランは変えません。1年間は働かず、失業給付と金融資産だけで過ごすとします。これまでのご褒美として、この1年間は支出も見直さないことにします。

 その上で、52歳でパートで働き始める段階からの、望ましい家計収支を考えていきます。

 パートの職種をAさんがどう考えているのか定かではありませんが、老後の年金支給額が増えるため、できれば社会保険、厚生年金加入の形で働きましょう。

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Aさんが家計を安定させる「3つのポイント」